鋳物、鋳造について


●技術、工法

鋳造(ちゅうぞう)とは、金属材料(鉄・アルミ・銅など)を融点よりも高い温度で熱して液体(溶融金属)にし、
型(鋳型)に流し込み、 冷やして目的の形状に固める加工方法です。
鋳造に使用する型のことを鋳型(いがた)といい、鋳造でできた製品のことを鋳物(いもの)と言います。
このように、 鋳造は、あたかも水のように自由な形状になることができるような液体となった金属
(溶解金属)を型(鋳型)に流し込む加工方法ですので、固体の金属に対して行う他の金属加工方法
では難しいような複雑な形状を造形できる金属加工方法です。


●鋳物の材料

鋳造はあらゆる金属で製作可能です。名西テクモで取り扱っている代表的な金属材料の特徴、特性を紹介します

●片状黒鉛鋳鉄(ねずみ鋳鉄)・・・ 鋳鉄とは、炭素(C)を2.1%以上含む鉄の合金のことです。なかでもねずみ鋳鉄は融点が低く、凝固時の収縮がほとんどないので鋳造に向いており、古来から鉄系鋳物の素材として使われています。含有している黒鉛の働きで、振動吸収性があり、硬くても加工しやすく、熱衝撃に強く、腐食に強く、耐摩耗性があるという特性を持ちます。
●球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄)・・ ダクタイル(ductile)とは「靱性がある」という意味であり、ねずみ鋳鉄よりも強靱性のある鋳鉄がダクタイル鋳鉄です。ねずみ鋳鉄の組織は、黒鉛が曲がりくねった筋状になっているのに対し、ダクタイル鋳鉄はマグネシウムを添加することにより黒鉛が球状になっています。これにより凝固時に膨張し鋳型を押し広げる上に、内部に巣(小さな空洞)を生じやすくなるという難点があり、また、配合にも気を付ける部分が多々あります。
●アルミニウム合金・・・ 名西テクモでは、主にAC4Cを扱いますが、様々な合金があります。比重が鋳鉄の5分の2程度で、同じ大きさでも鋳鉄より軽い鋳物ができます。しかし強度は鋳鉄に及びませんし、コストも高くなります。鋳鉄の融点の約1150℃に対してアルミニウムの融点は約660℃と低いので、ダイカスト法や、金型鋳造での鋳造に向きますが、小ロット、短納期、大型のものは模型で鋳型を作って製造することも可能です。
●ステンレス鋳鋼・・・ stainlessは「さびない」という意味で、鉄とクロム、ニッケルなどとの合金です。さびや酸に強く、配合や熱処理で加工性を高めたり耐摩耗性に強くさせるなど特性を変えることが可能です。JISでは合金の組織から4系統に分類されていますが、名西テクモでは、マルテンサイト系のSCS1、オーステナイト系のSCS13の実績があります。


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